相方(さがた)城跡は、広島県福山市新市町にあります。 最新刊の中に書いた「小さな神仏」の取材で、そのあたりを走り回っていた時に、ちょっとお邪魔をしてみました。 お城の跡は山頂ですが(車で行けます。道が超狭いのでお気をつけ下さい)、草がはえているだけで何もありませんでした。 昔、ここにお城があったんだな〜、と思いをはせる場所となっています。(見晴らしは良かったです) その相方城跡より、少し下ったところにあるのが「相方猫地蔵尊」です。 案内板で、猫地蔵という名前を見た時は、ペットの猫のための新しくできたばかりのお地蔵さんなのかな〜、と思いました。 ペット霊園みたいな感じかな、とも思ったので、見なくてもいいかな、と素通りして山頂へ行ったのですが、なんとなく気になって帰りに寄ってみました。 猫地蔵尊は、ちゃんとした石仏で古いお地蔵さんでした。 お地蔵さんの足元には猫が2匹彫られています。 そこに書かれていた由緒を読むと、1574年に妖怪騒動が起きたのだそうです。 弓の名人だった人が、妖怪退治をしてほしいという殿様の要請を断りきれずに、退治をしました。 すると、その夜から、【家族共々皆狂い廻る病】に襲われたそうです。 祈祷師に祈祷をしてもらったところ、妖怪の怨念の祟り、だと告げられます。 「罪のない子猫とともに成敗されて成仏できない」と親猫が言い、「親子の猫地蔵を建立して祀ってくれたら、信者の願い事は何でも叶えてやる」とも言ったそうです。 早速、そのように供養をすると、3日後から家族がみんな回復しました。 この出来事によって祀られたお地蔵さんだということです。 以前は別の場所に祀られていたようですが、2012年に現在地に移転されたみたいです。 へぇ〜! と、驚いたのは、400年前は殿様が妖怪退治を、フツーに、弓の名人に頼んでいたのですね。 今だと、「妖怪が……」などと、実社会で本気で訴えようものなら、信用を失うのではないかと思うのですが、昔ってある意味、社会に包容力があったんだな、と思いました。 このお地蔵さんはちゃんと道が通じています。 猫の他に人間もからんでいますから、物語はもう少し複雑なようです。 そこで、交通事故や水難事故の現場にお地蔵さんの石仏を作ったら、どうして成仏できるのか? という質問をしてみました。 お地蔵さんの答えはこうでした。 供養の石仏は〝亡くなった人のために〟作ったお地蔵さんです。 お寺のご本尊にするような、仏様として拝む目的ではありません。 ですから最初は、お地蔵さんと道がつながっていないのです。 し続きをみる
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