※前回の続きです。 こちらは、家康さんの御廟である、日光東照宮の奥宮です。 墓所の奥宮宝塔です。 ここで、まずご挨拶をすると、家康さんが出てきました。 ご挨拶のあと、日光に来た理由をお話しました。 そこで、「あ! そうだ!」と気づいたのです。 秀吉さんが神様になったことをお伝えしなければ! と。 「家康さん! 秀吉さんがですね! 神様になられました!」 興奮してそう言うと、 「知っている」 と、家康さんはニッコニコの笑顔です。 え? 知ってた? あ! そうか! 読者さんが私の本を読んで、清正さんのお話のところで知ったんだ~。 で、ここに来た時に、報告してくれたのだな、と思いました。 私の読者さんは優しい方が多いのです。 「私の読者さんが教えてくれたのですね?」 「いや。秀吉公が来た」 え? 「ええーっ!!! 秀吉さんが来たのですか!」 「神になって来た」 「えー! 秀吉さんが、いったい何をしにここへ?」 詳しく聞くと、挨拶に来たそうです。 秀吉さんは、家康さんにこう話しました。 亡くなってすぐに、神にならなくてよかった。 あの時の人格のままで、なっていたであろう神と、今の自分はまったく違う。 雲泥の差がある。 計画していた神とは違う神で祀られ、神社も壊されて、次元の隙間に落ちたことを、今は心から感謝している。 そう言って、秀吉さんは、 「ありがとう」 と、深々と頭を下げた、と言います。 たしかに、秀吉さんは、次元の隙間に落ちていた時でも、家康さんを恨んでいるようなことはひとことも言いませんでした。 家康さんのことを、悪く言っているのを聞いたことがありません。 そして、ですね、皆様、 ここからがビックリしたお話なのですが、 秀吉さんは、家康さんに、 もう気を使わなくていいから、どうぞ、神になって下さい、と言ったそうです! えっ! そういう理由だったの? と驚きました。 「家康さん、以前に、自分の意思で神様になっていない、と言っていたのは……秀吉さんに遠慮をして、だったのですか?」 家康さんは照れたような、はにかんだような表情で、うなずきます。 秀吉さんを暗闇に突き落としておいて、自分は華美な社殿に、はなやかに祀られ、自分だけ神になって神座に座るのは…… 人としても、神としても、ダメだろうと思ったそうです。 それで、神様にならずにいたのでした。 それをその場で気づいた秀吉さん、すごいです。 家康さんは、自分がしたことが原因で、秀吉さんが神様になっていないのは天海さんから聞いたそうですが、成仏したと思っていたようです。 次元の隙間に落ちていたことを知ったのは、自分が死んでからでした。 そこで、自分だけ神様になるのはどうなん? と思った家康さんは、やはりすごい人です。 多くの家来が忠誠を尽くしたことがなんとなくわかりました。 気にかけていた秀吉さんが神様になり、秀吉さんに「わだかまりを捨て、神になってほしい」と言われて、心が解放されたようです。 「ワシも神となって、人々の手助けしようと思う」 そう言った時、奥宮には多くの人がいました。 家康さんが説明をしてくれます。 東照宮には、観光で来る人がほとんどだそうですが、中にはピュアな信仰心を持ってくる人もいるそうです。 その人は、手を合わせて、家康さんに一生懸命にお願いをします。 けれど、今まではそのような人の願いを叶えることができませんでした。 ず続きをみる
『著作権保護のため、記事の一部のみ表示されております。』