※前編の続きです。「小説」ですから、完全な創作、作り話であることをご理解下さい。 今度は別の女性が質問をしてきました。 「男女で体型が違うのなら、銀スーツはどうするの?」 友人もプポンに尋ねます。 「そうだよな。あれは個人でオーダーするのは難しいだろ?」 銀スーツというのは、これを着ていれば、宇宙のどこに行っても困らないという服です。 床から数センチのところに周囲の引力・気圧を調整する小さな装置が取りつけられていて、脇のところには自分のまわりの温度を調整する1ミリの装置が埋め込まれています。 その他、有害物質から身を守る装置、どんな星でも呼吸できるように気体を調節する装置など、多くのものがセットされた服なのです。 「みんなが別々の体型なら、1着1着作るの? それは……無理じゃない?」 その疑問にプポンが首肯します。 「うん。だから宇宙へは出ていっていないんだ。というか、文明がそこまで発達していないんだよ」 「なるほど」 全員が納得しました。 プポンがさらに説明を重ねます。 「俺たちは見た目では男女の違いがない。アーモンド型の目に鼻があるっていう、同じような顔だし、個性を表現するような髪の毛も眉もないし。着ているものは全員同じ銀スーツだしさ。ここまで何もかも一緒だと、相手を選ぶのは、その人の性格や考え方になるだろ?」 うんうん、と全員がうなずきます。 「よって、俺たちは交際する相手や、結婚相手を、見た目ではなく、性別でもなく、人格で判断して選んでいる。あ、もちろん、地球人の中にもそういう人はいたよ。でも、少数だった。性別を含めた見た目がかなり大きくかかわっているようだったな」 カフェ内が「そうか……それは原始の人類っぽいな」という雰囲気になりました。 プポンが続けます。 「俺が一番驚いたのはさ、男は男らしく、女は女らしく、という思想があったってことかな」 さきほどの女性がふたたび質問をしま続きをみる
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