※今回、お話が長いです。お時間のある時にどうぞ〜。 モロッコからフランスに戻る日は、フランスの国鉄(SNCF)のストライキの日でした。 ストと重なることは少し前からわかっていましたが、ストライキといっても列車が全部が止まるわけではなく、全体の5分の1程度は動くという情報だったので、だったら、まぁ、大丈夫かな、と思っていました。 チケットもネットですでに購入済みだし、SNCFの公式サイトを見てもどの列車が止まるとかは書いていなくて、「私が乗る予定の列車はきっと大丈夫」と思っていたのですが……。 その日が近づくにつれて、「いや、待て。困ったことにならないよう、よーく考えたほうがいい」と、「もしも」をあれこれ仮定してみました。 私が目指す目的地は、空港から国鉄に乗って行く地域です。 逆に言えば、長距離バスなどがないので、列車が動かなければ目的地まで行けません。 もしも予約している列車が運休になったら……何とかして別の時間に動いているであろう列車に乗らなければなりません。 しかし、検索してみた結果、1日5〜6本しかないローカル線です。 飛行機は夕方近くに到着するので、「今日は午前中に1本走ったから、もうおしまいね、ストだから」となった場合、どうしようもないわけです。 明日まで列車はありません、と言われたら、その場で駅周辺のホテルを予約し、目的地のホテルには1日分キャンセルすることを電話で伝え、しかし返金不可で予約をしているのでお金は返ってこず……国鉄のチケットも払い戻しをして書い直し……う〜ん、なんだか非常に面倒くさい、と思いました。 幸い、私は国際免許証を持って来ています。 ここはもう、レンタカーを借りるしかないな、と早めに予約をしておきました。 ストの2日前になって国鉄からメールが届き、そこには「あなたの乗る予定の列車はキャンセルされる可能性があります」としっかり書かれていました。 ちなみにこの日の国鉄の駅は大混乱だったそうです。 さて、そのレンタカーですが、前回うっかりミスをしてマニュアル車を予約したので、今回はしつこく確認をしてオートマチック車を予約しました。 当日、車が置かれている指定場所に行くと、コンパクトサイズで予約したにもかかわらず、どでかい車が用意されていました。 なんでこんなに大きな車が……? ( ̄ー ̄; と、一瞬固まりましたが、乗り捨てで予約をしたので、遠方に乗って行ってもいいのは、この車だけだったのかもしれませんし、多くの人がレンタカーを借りていたので、もしかしたらコンパクト車は出払っていたのかもしれないです。 仕方ないか……と乗り込むと、その車はでかいだけではなく、ほぼ新車でピカピカ、さらに最新式でした。 なにやら記号が書かれた、見たこともないボタンがあちこちにたくさんあります。 初めて車に乗った猿のような気持ちになり……必要以上にキョロキョロしましたが、むやみやたらと触るのは怖いです。 要は動けばいいわけで、他の機能は使わんとこ、と出発しました。 右側通行にも慣れていたので難なく運転できて、高速道路にも乗りました。 しばらく走ると料金所が見えてきました。 通行券を入れると〝1.80〟と表示されます。 何も考えずにパッと見たため、日本の感覚でつい、18ユーロか、1,800円なのね、と思いました。(複雑な計算が苦手なので、1ユーロは大体100円と考えています) まさか高速が200円程度とは思えないので、1,800円なら20ユーロ札を使って払えばいいか、2ユーロのお釣りだな、と20ユーロ札を入れると……。 ええ、ええ、そうなんです! お釣りはお札で戻ってきませんから、すーべーてー、コインでジャラジャラジャラジャラと出てきました。 自分のおバカさにムカムカと腹を立てながらコインを取ろうとしましたが、なにせ車が大きいので車幅感覚がつかめていません。 いつものようにギリギリで横につけるということが怖くてできないので、支払機までの距離がちょっと遠いのです。 ンモー、ンモー、と言いつつ窓から身を乗り出すようにしてコインをつかみ、当然一度では全部取れないので、何回か手ですくいました。 領収書も発行して、ふー、やれやれ、さて、出発するか、とアクセルを踏みましたが、車が動きません。 はて??? ブレーキを踏んで、もう一度アクセルを踏んでも、まったくウンともスンとも言わないのです。 どうやらロックがかかっているようです。 !!! ここで頭が真っ白、大パニックになりました。 な、ななな、なんで? シフトレバーをパーキングにして、それからDに入れてみたり、サイドブレーキを引いたり戻したり、いろいろとやってみるのですが、まったく! 動かないのです! ひ〜〜〜〜え〜〜〜〜〜! と、本当に声に出して絶叫しました。 5分ほどあれこれやっても、車は全然動く気配無しです。 誰か来てぇー、助けてー、と思いましたが、料金所に係の人はいないのか、誰も来てくれません。 後ろからは、クラクションがブーブー鳴らされます。 わかってます、わかってるんです、私も早く出たいんです と気持ちは焦っているのですが、車はウンともスンとも言わないのです。 そこで、窓から身を乗り出して、後ろの車の人に向かって手を振ってみました。 ご迷惑でなければ助けていただけませんか? と、SOSを発信したジェスチャーのつもりだったのですが、後ろの女の人は「オッケー、いいわよ、なんだか知らないけど待ってあげるわ、ゆっくりどうぞ」みたいなジェスチャーを返してきました。 「ひえ〜、違うんです〜、助けてほしいんですぅ、ここまで来てほしー」と思いましたが、さすがに私が降りていって、助けを求めるのもどうかと思い、こうなったらもう、係の人が来るまで待つしかない、と腹をくくりました。 1時間も2時間も誰も来ないってことはないはずです。 というか、レンタカー会社に電話をすればいいということに気づき、少しだけ冷静さが戻ってきました。 その時でした。 「エンジンがかかっておらん」と聞こえたのです。 フランスには、山岳系神様の眷属と、お続きをみる
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