息子が事前に選んでいた、A、B、C、Dの4つの候補がお昼までに全滅になったため、新たに4つの候補を決め、気を取り直して物件めぐりに行きました。 まず、E物件です。 そこは、線路横の細い路地を入った、突き当たりにある小さなマンションでした。 中に入って見ると、分譲マンションのモデルルームのように家具が置いてあって、見栄えよく飾られています。 パッと見ると、都会のオシャレな高級マンションの一室、のような気分になります。 なかなか借り手がつかないのだな、とすぐにわかりました。 部屋の空気がどんよりと暗〜く、重たくて、立地も後から書きますが、良くない物件なのです。 ここは風がまったく通らない作りで、しかも「人が住んでいい場所」ではありません。 明らかに「魔」が好む空間なのです。 息子は、オシャレな雰囲気に惑わされて、「うわ〜! ここ、いいやん!」と写メを撮りまくり、「俺、ここ、好きやな〜」と乗り気です。 こんなに素直に、まんまと作戦に引っかかるやつがいるんだなぁ、と我が息子ながら感心しました。 マンションの目の前が線路になっていて、その線路は高い位置に作られているため、そちら側はコンクリートの壁です。 「ここ、夜、お嫁さんが仕事から帰って来る時、危ないよ」 「うん。それは俺も思った。だから、ここはやめとく。中はいいんやけどな~」 というわけで、次に、F物件です。 5階建てマンションの1階で、間取りも悪くないし、広さも十分すぎるくらいの部屋でした。 中に入ると、リビングが広くて、快適に暮らせそうな物件です。 「いいね!」と、またしてもノリノリの息子です。 しかし、1階ですから、バルコニーの安全性を確認しなければなりません。 雨戸が閉まっていたので、開けてみたら……。 バルコニーの真ん前が駐車場で、木が1本も植えられていないため、駐車場から丸見えです。 しかも、駐車場から、楽々とバルコニーの柵を乗り越えて侵入できる作りになっているのです。 なに? これ? という感じです。 バルコニーの位置が低いうえに(ほぼ地面と同じ高さでした)、柵も、「なんでこんなに低いん?」と、いうくらい低い柵で、どこからでも入って下さい、どうぞどうぞ、というバルコニーなのです。 オートロックの意味がありません。 玄関に入る部分だけオートロックで、バルコニーは誰でも入りたい放題なのです。 防犯上、ありえません。 下着を盗まれたりもしそうですし、というか、丸見えなので干すこと自体、できません。 「ここも、なしやね」と、雨戸を閉めて振り向くと、息子はリビングに立って、「ここにテレビを置いて、こっちにテーブル。それで……」などと、家具の配置を考えています。 「なにしとん?」 「いや、こんなに広かったら、家具をどう置こうかと思って」 「は? 借りんのやから、それ、無駄やろ?」 「そうなんやけど〜、ちょっと考えてみたいやん?」 (*´ω`*) アホか。 「時間ないから、次行くよ」 ということで、G物件です。 そこは2階建てのハイツが、数棟、建ててあり、中庭やベンチもあったりして、コミュニティ度の高いところでした。 新築に近いのでキレイですし、中も広々としています。 風は通るし、悪いものもいませんし、2階ですし、物件自体は悪くありません。 ここも雨戸が閉まっていたので、息子がガラガラと開けて……全部開け終わらないうちに、ガラガラと閉めていました。 「どないしたん?」 「向かいの家の人と、目が合った」 向かいは横続きをみる
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