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Channel: 桜井識子オフィシャルブログ「~さくら識日記~」Powered by Ameba
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人間とは

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時々、介護職で接していた利用者さんを思い出し、今、どうしているのかな、元気にしているかな、と思います。 私は介護の仕事で、非常にたくさんの、ありがたくて貴重なことを、利用者さんに教えてもらいました。 一番最初に大事なことを教えてくれたのは、デイサービスの利用者さんでした。 私が初めて介護の仕事をしたのはデイサービスセンターです。(入社後、ほどなく離婚をして引っ越しをしたため、短期間の勤務でした) ここには、重度の認知症の女性(Aさん)が、毎日来ていました。 Aさんは感情がなくなっているし、会話もできないということで、職員は全員、「Aさん、おはようございます」と、朝の挨拶はするけれど、話しかけたりはしていませんでした。 Aさんはいつも車椅子に座ってポツンとひとりでいて、誰にも相手にされず、黙ってじっとしていました。 いくら理解ができていないといっても、その姿がなんだか寂しそうだったので、私は時々、話しかけていました。 もちろん、反応はありません。 それでも、普通に話しかけ、他の利用者さんに語った自分の失敗談なども、Aさんにも同じように話していました。 それを続けていると、ある日、Aさんは顔を上げて、話をする私の目を見ました。 あ! 重度認知症の方でも反応するんだ! と、その時に知りました。 それからは、私が話しかけると、私の顔を、私の目を、見るようになったのです。 喜んでくれていることがわかったので、それからもせっせと話しかけました。 すると、徐々にですが、顔がほころぶようになり、時たま、にっこりと微笑むようになったのです。 奇跡だ~、と驚きました。 でも、話しかけなければ以前と同じで、固まったままじっとしています。 私はAさんに微笑んでほしくて、せっせと以前にも増して話しかけるようになりました。 そんなある日、Aさんをピックアップするお迎えの福祉車両に添乗しました。 先輩が玄関で息子さんと会話をし(Aさんは息子さんと2人暮らしでした)、その後、先輩が車椅子を押して、車の後方へと移動します。 私は車の中に待機していて(車椅子が乗せられたら固定をするためです)、Aさんの車椅子が目の前に来た時に、 「Aさん! おはようございます! 今日は朝からうるさい私と一緒ですよ~」と言うと、Aさんはそこで、にっこりと微笑みました。 すると、それを見ていた息子さんが、目を真ん丸にして、微笑むAさんの顔をじーっと見つめていました。 心底、驚いているようでした。 その後、私に目を移し、じっと見ていました。 たぶん、息子さんはあちこちから、Aさん続きをみる

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