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お盆のお供えもの 【補足あり】

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お盆ですね。

お盆は亡くなった方々があちらの世界から、現実界のこの世にやってきます。

子どもたちや孫、ひ孫と一緒に過ごし、再びあちらの世界に帰っていきます。

きっとどこのお宅も、連日、美味しいものがお供えされているのではないかと思います。(宗派によって違うと思いますので、お供えものをしない宗派の方はスルーして下さい)

仏壇には果物や和菓子などが山盛りになっているのではないでしょうか。

子どもの頃から、お盆のお供え物だけはもらってはいかん、と言われてきました。

普段は 「ご先祖様、一個ください」 と手を合わせれば、どれをもらって食べてもいいのに、お盆だけはどうしていけないのだろう・・・? と、不思議でした。

祖父だったか、祖母だったかは忘れましたが、その点について聞くと、お盆のお供えものは、仏様 (成仏した先祖霊のことです) が帰る時に、お土産に持って帰るから、それで手をつけてはいけないのだと教えてくれました。

へぇ~、と思いました。

(ちょっとややこしいですが、あの世からこちらに来ることを、 ご先祖様が「戻ってくる」 あの世に再び行くことを、 ご先祖様が「帰っていく」 と表現しています)

あちらの世界では、お盆は地上に戻れる楽しいイベントです。

が、実は、お盆になっても戻れる家がない人が、あちらの世界にはたくさんいるのだそうです。

戻れる家がある人は、そこで美味しいものをお供えしてもらって、家族とも楽しく過ごし、満足してあちらの世界に帰れます。

しかし、戻る場所がない人は、そういう楽しい思いをすることが出来ません。

地上で楽しく過ごしてきた人を見て、いいなぁ、と自分の状態をちょっと悲しく思うわけです。

戻る場所がなくて地上に戻れなかったその人たちに、楽しんできた人たちは、少しでもなにかしてあげたい、自分が楽しんできたように、ちょっとでも楽しんでもらいたいと思うようです。

成仏していますから、慈悲の心が深いのです。

それでお土産を持って帰りたがるそうです。

持って帰ったお土産を、地上に戻れなかった人たちに渡すと、それはそれは喜ばれるのだそうです。

私の父方の祖父がそう言ったということでした。

「だから、できればたくさんのお土産を持って帰ってあげたい」 と。

ということで、お盆の期間は、実家の仏壇はお供えもので大変なことになっています。(笑)

しかし、もしもこのお供えものに人間が手をつけてしまったら・・・、例えば、その中の1個でも食べてしまうと、お供えものはもう持って帰れないのだそうです。

例えば、食べたのは20個中のたったの1個で、残りの19個でも十分な量なのでは? と思うかもしれませんが、仕組みがこの世とは違うのです。

果物やお饅頭など20個お供えしたうちの、小さな1個でも、人間が食べてしまうと、その回のお盆のお供えものは、すべて持ち帰れない、となります。

お盆のお供えものは1セットなのです。

1つの大きなかたまりなので、1個でも食べると全部がダメになってしまうのです。

ご先祖様は怒ったりしませんが、楽しみに待っている人を思って、多分がっかりすると思います。

しかしこれは、ご先祖様が持って帰れるように 「流して」 あげなければ、ご先祖様はあちらの世界にお土産を持って帰ることは出来ません。

この 「流す」 という方法で、ご先祖様をお見送りしていないお宅は、ご先祖様がお土産としてお供えものを持って帰っていませんから、食べても大丈夫、ということになります。

ですから、ほとんどのおうちが食べても差しつかえない、ということになるのではないかと思います。

「うちのご先祖様にも、お土産として持たせてあげたいのだけれど」 と思われる方がいらっしゃるかもしれません。

「流すお見送り」 についてこれから書きますが、供養の仕方は地域によって違ったり、宗派で違うと思います。

これが正しいというのではなく、 「識子さんちはそういうふうにしてるのね」 程度に読んでいただければと思います。

まず、この 「流すお見送り」 ですが、 〝ある程度大きくて深い〟川か、海に近いところでなければ出来ないです。

8月16日の 〝夜〟 に、紙の箱にお供え物を全部乗せて、もちろん仏花も乗せ、線香も乗せて、川か海に流すのです。

ご先祖様もこの箱と一緒に、川か海かの流れにのって、あちらの世界に帰って行きます。

しかし、この流す方法には2つルールがあります。

そのひとつは、 「線香が燃え尽きる前に流す」 ということです。

箱に入れる作業をする前に、仏壇のローソクと線香に火を灯し、手を合わせます。

般若心経を唱えたりして、最後に、今から流しに行きますからね、と言っておきます。

手を合わせ終えたら、ローソクを消して、お供えものを箱にさくさく入れていきます。

流してあげる時は、お供えものを仏壇に残してはいけません。

箱に入らないから、これは入れなくていいか、と残してはいけないのです。(お茶とか水ものだけ別で、お茶は残してもかまいません)

ですから、ちょうど入るくらいの箱は数日前から用意しておきます。

箱は菓子折りの、フタじゃないほうの箱を使うことが多いです。

そっと水に浮かべて、すぐにぶくぶく沈んでもそれはオーケーです。

その箱にお供えものをすべて入れ、仏花も端っこに入れます。

そして、火がついている線香を香炉から取って、一緒に持って出ます。

ここからは、家の前が海とか川でない限り、時間との戦いです。

線香が燃え尽きる前に、その線香も一緒に箱にいれて流さなければいけないからです。

ですから、線香が燃え尽きる時間内に、車で (もしくは自転車で、徒歩で) 移動出来るところに川か海があるかどうか、が、流してあげられるかどうか、ということになります。

川か海に着いたら、そのお線香も入れて、 (箱にじかに置くと燃える可能性があるので、果物の上に置くとか工夫します) 箱をそっと水面に浮かべてあげると、それでご先祖様はたくさんのお土産とともに帰っていきます。

もうひとつのルールは、こうして流したあと、くるりと背を向けて家に向かって帰りますが、そこで 「振り返ってはいけない」 です。

これは 「絶対に」 振り返ってはいけないそうで、子どもの頃 「ついうっかり振り返ったらどうしよう!」 と毎回ドキドキしていました。

振り返ったらどうなるのかは、したことがないのでわかりませんが、車もあとからバックしなくていいように停めておく、などの注意が必要だと思います。

家の中に入るまで振り返ってはいけないそうです。

これで、ご先祖様にお土産を持って帰ってもらえることになります。

ご先祖様はあちらの世界で、戻る家がない人にお土産をあげることが出来、その人たちにとても喜んでもらえて、良い行ないをひとつ積むことになります。

ただ、現在は、ゴミの問題などがありますので、 「流すお見送り」 は、地域によってはなかなか難しいかなと思います。




※質問がいくつか届きましたので補足させていただきます。
私の書き方が悪くて、わかりにくい部分があったのだと思います。
本当に申し訳ございません。
そこでちょっと簡潔に書いてみました。

★「お供えものを8月16日に海か川に流す」おうちの場合★
 
→ お盆の期間のお供えものは食べないほうがいいです。お盆の期間にお供えした果物やお菓子は食べずに全部流してあげます。 
→ そうすることでご先祖様がお土産に持って帰ることができます。
→ 流し終えて、お盆が終われば、次のお盆までお供えものは食べても大丈夫です。


★「お供えものを海や川に流さない」おうちの場合★
 
→ 流さないということは、ご先祖様はお土産を持って帰れません。ご先祖様は自力で持って帰る、ということができないのです。
→ ですから、お供えものはご先祖様だけにお供えすることになります。ご先祖様には仏壇にお供えした時点ですでに届いています。
→ 4~5分お供えしたら、もう食べても大丈夫です。
→ お盆の期間に、人間が食べないようにしても、それだけではご先祖様はお供えものをお土産として持って帰れません。「川か海に流す」ことをしないとダメなのです。
→ ですから、「流さない」お宅は、お盆でも通常と一緒です。お盆に関係なく、一年中、いつでもお供えものはありがたくいただいて下さい。捨てたりなさいませんように。


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