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(^-^)
90歳近い独居の男性利用者さんの話です。
数名のヘルパーが、そのお宅に調理とお掃除のサービスに入っています。
買い物も週に2回あり、その買い物の日に私が入った時のことでした。
買い物は3~4日分の食材と日用品を買うのですが、悩むのが食材の選択です。
おかずがここ1年、同じようなものばかりなのです。
たまには洋風の違ったメニューを楽しんでもらいたいな、と考えました。
そこで利用者さんに聞きました。
「○○さん、たまには違う料理を作ってもらうっていうのはどうでしょう?」
「せやなー、いつも同じようなもんばかりやからな」
「ハンバーグ用にミンチを買ってきましょうか?」
「んー、ハンバーグなー、アレ、あんまり美味しないな」
「じゃあ、スパゲッティとかどうです?」
「スパゲッティって麺やろ? 麺はもひとつやな」
「じゃあ、○○さん、グラタンは?」
「グラタンって何や?」
グラタンとは、と説明をしましたが、途中でホワイトソースって何や? となり、ホワイトソースを説明しているうちに、わからへんからもうそれええわ、と却下になりました。
90歳近いのですから、やはり洋風は好みに合わないのかもなぁと思いました。
で、 「あ、そうだ、スライスチーズがあれば、サンドイッチも出来るし、ちょっと便利かもしれない」 と思ったので、聞いてみました。
「○○さん、チーズは大丈夫ですか?」
「チーズ?」
「チーズです」
「・・・・・」
○○さんは、急に眉毛を 「ハ」 の形にして、困ったような表情で、弱々しく言いました。
「オレ・・・おじいさん、やからな、ハイカラなものはわからへんねん・・・」
あっはっはー! と、思わず大笑いしました。
というのは、この利用者さんはとても博識で、いろんなことについて教えてくれます。
歴史や政治、経済、なんでも来いの方なのです。
お仕事をしていた時の関係で、地元の名士にも知り合いが多く、カクシャクとしていて、高齢者・・・ましてや 〝おじいさん〟 というイメージではありません。
物知りの頼りになるおじさま、という感じです。
「○○さん、急におじいさんにならんといて下さいよ~」
いつもはパリッとしているのに、急に 「自称おじいさん」 というのがおかしくて笑ってしまいました。
「なんでや、オレ、おじいさんやろ?」
ますます眉を 「ハ」 の字にして聞いてきます。
「いやいやいや、そんな顔して言うと、うっかりハイって言いそうになるじゃないですか~。違いますから」
「そうかぁ? おじいさんや思うで?」 と本人も笑っています。
「おじいさんって、花咲かじいさんとか、おむすびころりんとかに出てくるのがおじいさんですよ? ○○さんは違います~」
「そうかぁ?」
と、言いながらも、本人もおかしくなったのか、大笑いしていました。
オレ生徒会長、オレ社長、っていう使い方ならまだしも、オレおじいさん、は面白いなぁと思いました。
セツコさんも相変わらず楽しいです。
セツコさんは気が弱くて訪問販売の人に居座られた経験があるため、今は来訪者を確認してからでないと、玄関を開けません。
その確認をするために、玄関横の居間の窓のカーテンを常時30センチほど開けています。
ヘルパーが訪問した時は、そこから顔をのぞかせて 「セツコさ~ん」 と声をかけます。
セツコさんが確認をして、見知った顔なら開けてくれます。
先日のことでした。
カーテンの隙間から中をのぞくと、セツコさんはちゃぶ台の横でコロンと寝ています。
のどかな午後のひとときですから、 「お昼寝してるんだなぁ」 と思いました。
「セツコさ~ん!」 と大声を出して呼びましたが反応がなく、仕方ないので、ドンドンドン! とサッシを叩きました。
が、セツコさんはビクともしません。
えっ!? Σ(゚д゚;)
も、も、も、もしかして!?
・・・と真っ青になりました。
「セツコさ~ん! セツコさ~ん!」 としつこく叫び、サッシが壊れるのでは・・・というくらいドンドンしました。
それでもセツコさんは起きず、慌てて事務所に連絡を入れました。
事務所の人も 「わかった! 自宅の電話を鳴らしてみる!」 と言いましたが、なかなか電話が鳴りません。
早く電話を鳴らしてよ! ああ神様、セツコさんが無事ですように! ただのお昼寝ですように! とお祈りしつつ、目を凝らしてよーく観察すると・・・。
お腹のあたりがかすかに上下しています。
良かったぁぁぁ~、と安堵し、となるとセツコさんは寝ているわけで、 「ちょっとセツコさん起きて下さい」 と念を飛ばすと、その瞬間、セツコさんがパッチリ目を開きました。
無事に玄関を開けてもらっている時に電話が鳴り、電話遅すぎるやろ、と2人で笑いました。
セツコさんちではお風呂を沸かしつつ調理をして、お風呂が沸いたら、ヘルパーが調理の後片付けをする間、セツコさんには1人で服を脱いでもらいます。
少し時間がかかりますが、自分で出来ることは自分でしてもらうのが介護の基本ですので、セツコさんは台所から見える位置で服を脱いでいました。
「識子さん?」
と、突然声をかけられて振り返ると、セツコさんが肌着のまま、すぐそばに立っています。
「どうされたんですか?」
「さっきな、識子さん、ビックリした?」 とセツコさんは訪問した時のことを聞きます。
「ビックリしましたよ~!」
セツコさんはさらに聞きます。
「死んでるか思た?」
えっ! ( ゚ ▽ ゚ ;)
そんな不吉な質問に私はハイと言っていいのか・・・。
と、一瞬悩みましたが、セツコさんはなんだかワクワクした雰囲気を漂わせていて、楽しそうです。
そこで正直に 「思いました~」 と答えると、セツコさんは非常に嬉しそうな表情になりました。
うふふふふふ、 (⌒▽⌒) という感じです。
それも、両手を後ろで組んで、体をクネクネさせるという少女のような可愛いポーズで、です。
「さっき・・・セツコさん死んでるわー、って思たんやな?」
「ええ、ええ、思いました。心臓が止まりそうでした。窓を叩く手が震えてましたからね~」
うふふふふふ、とセツコさんは満足そうに微笑んで、服を脱ぎに戻りました。
「???」
と不思議でしたが、入浴中も 「さっき、識子さん、驚いたやろ? 心臓止まりそうやったやろ?」 と嬉しそうに聞くので、私が驚いたことが楽しいのだな、と思いました。
そういえば、私も子どもの頃、物陰に隠れていて、やってきた弟に 「ワッ!」 と声をかけながら飛び出して驚かしたことが何回もあります。
弟がビクッとして 「うわぁ!」 と本気で驚くと何故かすっごく嬉しかったことを思い出しました。
あの心境と同じなんだろうなと思いました。
「ここ何年かで一番、驚きましたよ~」
「死んでるか思たんやろ?」
「思いました思いました、私、真っ青になりましたもん。一瞬でのどがカラカラですよ」
うふふふふふ、とセツコさんは含み笑いをし、気持ち良さそうに湯船につかっていました。
で!
お風呂からあがって、薬を塗っていたら 「さっき、真っ青になるくらいビックリしたやろ?」 と聞いてくるのです。
セツコさんに認知症はありません。
その証拠に、私が言った表現をちゃんと覚えていて使うのです。
「ええ、ええ、もうね、血の気が引くとはこのことかと思いました。私の方がビビって倒れそうになりました」
「死んでる思てやろ?」
「死んでたらどーしょーってドキドキしました」
「うふふふふふ」
その後、洗濯物を洗濯機から取り出し、干そうとバタバタしていたら、水分補給で麦茶を飲んでいたセツコさんが・・・言いました。
顔には満面の笑み、 (=⌒▽⌒=) です。
「識子さん、さっき血の気が引いて、倒れそうになったやろ?」
フフフ、と私もなんだか笑いが出てしまいました。
そこまで言われれば、私の方も楽しくなって、なんとか違う表現をしたい! みたいになってきます。
「ええ、もうね、パニックになって、取り乱しましたよ~。あんなに取り乱したん久しぶりです。鍵がかかってるのに窓を何回も開けようとしましたからね~」
「死んでる思たからやろ?」
「そーなんですよー! あわてまくってるから事務所の電話番号がなかなか見つかりませんでした~」
「うふふふふふ」 (=⌒▽⌒=)
結局、この後、記録をしている時にもう一回聞かれました。
セツコさんにとって、今回のことは何らかのツボにはまったようで、よほど楽しかったのだと思います。
帰りに 「識子さん、また来てね!」 「絶対、来てね」 を連発していましたので、喜んでいただけたのだなと思いました。
セツコさんちをあとにしながら、私も、うふふふふ、と笑えたなんともほのぼのとしたサービスの日でした。
※うるうる猫の画像はシュレック2からお借りしています。
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